赤いトラック
- 飯島朋彦
- 5 日前
- 読了時間: 2分
眠気にまかせてしまう寸前に思いとどまってシャワーを浴びながら、今日なにができたんだろうと有意義を探そうとしてしまった。
ちびが昨日から体調を崩していて、朝から臼田の佐久総合病院に連れて行き、確かに一番にかかろうとしたわけではないにせよ、そんなに遅く並んだわけではないのだが、やはり薬局まで含めると昼近くまでかかり、正午過ぎから妻にバトンタッチをして畑に戻るが雨である。ありがたい雨であるが何か?と仰るお天道様である。
あまりに酷い畑のこともあって、今日は朝からあまり携帯電話に触れる気がせず、朝もわりとダラダラ寝てちびと戯れてから病院に行き、すこしボーッとするような待合。
あ虹だ!あピカチュウ!ねえねえ靴脱いでいい?ユーチューブユーチューブと忙しない。ズボン逆に履いてるし。そういえば家出る直前のトイレで一回脱いでいた。
すこしゼーゼーするから肺のレントゲンを撮った方が良いという。診察室から出て、前の方の待合席に移動すると、あトラック!赤いトラック!とちびが言った。
その席は、ちょうど眼下に真っ直ぐ伸びた路地を、つきあたりの通りまで見通す直線に頂点する特頂席とでも名付けうる幾何学だった。
見通した先のもう一つの頂点に、すこし変わったタイプに見える赤いトラックが停まっている。が、ちょうど赤信号で停車していたのだろう、あトラックだねと答えた次の瞬間に走り去っていった。
あの赤いトラックは、あトラックだねと、シャワーを浴びながら脳裏に浮かぶトラックだった。眠気に任せていたら忘れてしまったかもしれない。思い出せて本当によかった。
ちびは、あキャリアカー。あポンプ車。あ消防車と、同乗者に話さずにはおれない車好きだ。姉にうるさい!とどつかれる未来のマンスプレイナー。
でも、なにに出会っているのか、もしかしたら、この赤いトラックなのかと、すこしその特別な幾何学の補助線のお陰で、触れることができたかもしれない。し、すぐに去ってしまった一瞬をかれと一緒に見ることができた。
今日は良い日だった。
2025/09/12深夜
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